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【全国蒲鉾青年協議会】ロシア・ウラジオストク視察

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「ロシアいつ行くの?」「今でしょ!」

4月17日から21日までの5日間、ソウル仁川経由にてロシア視察を行った。
昨年のサハリン海域で十数年ぶりにロシア産のすり身生産の開始という情報、2013年には50万tの生産を目指すと聞きつけ、過去の枯渇した原料の回復状況とロシア産のかまぼこ市場調査、今後の可能性について視察調査を目的とした。

今、世界のすり身状況ではアメリカのアラスカ・ベーリング海を始め、タイ、ベトナム、インド、中国、マレーシア産などで生産拠点を置くなか、価格においてはアメリカの動向が注目を集めている。

その中でロシア産のすり身生産の復興はアメリカを始めとするすり身高騰の歯止めや牽制の一助になるもと考えていた。
まずは、ウラジオストクでの日本センターを訪問し、大石所長よりロシアの現状や流れを聞いた。
1980年代後半からのペレストロイカ(旧ソ連崩壊)により旧ソ連の経済が崩壊し、ロシアに移行後、ヨーロッパ諸国の物資や日本産の中古車など、経済立て直しでの需要が急増し近年ではロシア国内での自動車産業生産なども伸びてきている。
ロシアが近隣諸国に輸出する多くは天然ガスをはじめとするエネルギー資源だ。日本には32%もの輸出を行う一方で日本からの輸入は8%と低く、輸出内容も自動車関連産業が多くをしめていた。
一方、中国に対する輸出は18%に対し中国側からの輸入は46%と高い値で、日用生活物資を含む様々な物が輸入されている。
現状のロシアでは諸外国に対する関税が高く、国内産業の発展に力を注いでいる。嗜好品の関税は特に高く、地場産のウォッカと海外のラム酒などを比べると価格は5倍近くにも上っていた。
ウラジオストク日本センターでロシア経済の実情を少し触れることが出来た。

次に、チョコレート製造会社を見学。
今回はアテンドをお願いした貿易会社のアルゴナフトの好意により、チョコレート製造会社を見学することができた。このチョコレート会社は起業110年近く続き、今ではシベリア全域にチョコレート菓子を納めている。
普段はロシア系企業には一切工場を見せない秘密主義な会社だが、ロシア企業の多くはそう言った企業間交流や情報交換などは閉鎖的で拝金主義な企業が当たり前だという。息子の副社長も新しい技術は日本で学んだという。

工場内では出来立てのチョコレートを食べさせて頂くなど以外と大らかな人達に一気に緊張がほぐれる甘い視察となった。


午後からは今回の視察の本丸、ロシア・シベリア水産産業大学のすり身・製品視察と意見交換会を開催した。

この水産大学では実際に製品を製造し物流に乗せ、販売形態をとっている。 

水産大学日露センターのアレキサンドル所長の案内のもと、学生達が試験テストを行っていた。
すり身はカナダ産のスケソウダラを使い、日本企業の機械でサイレントカッター、成型器、茹で、蒸し器、冷却などの小規模だが基本の製造ラインが並び、かまぼこ製造の基礎研究を行う。
別室に移り、大学側で作られた蒲鉾やカニかま製品、イカの薫製、乾燥ナマコ惣菜、ニシン酢漬け、タコの薫製などが並び、製品に対する説明を受けた。

各製品の販路や食べた感想など意見交換の後、今回参加されたメンバー各社のお土産かまぼこを並べ、日露協同試食意見交換会を開催した。

水産大学側からはイワン学長も参加され、日本から持ち込んだ全国の練り製品に興味津々で様々な質問が飛び交った。
特に日本のカニかまや、じゃこ天、揚げ蒲鉾など、具材の配合からどうやって作るのかまで具体的な質問にまで及んだ。
彼らは大学ではロシア国内での様々なパテントを持ち、ロシア企業や学生の起業に対してサポートを行い、収益を得ている。
すり身の現状を聞いたところ、ロシアのスケソウダラは魚体の回復をみせ、大きくなっているとのこと、ただ、沿岸付近にくる4月頃は捕れるがそれ以外は船が出ない。捕れても陸上すり身がほとんどで、これからロシア船籍ですり身生産への期待はないと言う。がっかりだ。。。

大学側も今はカナダからスケソウダラのFAを買う。たまにタイ産のすり身を買うが使えないとのことだ。
大学教授や学長の話では、昨年ウラジオでAPECを開催したこともあり、国の産業もこれからはロシア国内だけでなく対中国へ向けて輸出を強めたいとのことだ。

ここまで聞いて分かったことだが、ロシアは今、すり身を作る気はあまり無いらしい。
そのロシア側が考えるビジョンは、早く売れる蒲鉾製造技術を身につけ、内需だけでなく中国貿易を狙いたい。日本センターでの話と繋がったわけだ。
我々にとって、ロシアがすり身を作ってくれればお友達。
ロシアがすり身を作らずに、最終製品を作って日本や中国など海外に売り込めば大国のライバルになりかねない話なのだ。

ましてや原料までもが買い付けのライバルともなりかねない話だったりする。
ところが、何故か進まないらしい。それはアルゴナフト社長から後で聞いた話だが、基本的にロシアは拝金主義、民・官・学が混ざり合うなんて考えられない。個々の利権争いでいっぱいなのだ。
誰かが起業して「かまぼこ」を作る、誰かが起業して「すり身」を作る、これの「誰か」が居ないのだ。
リスクも多く、利権に群がる国政と学校、秘密主義な企業、ソ連崩壊後のロシアではトヨタやヒュンダイなどの成功事例はあるものの、車のボディーを離して半製品として輸出することで関税を安くし、ロシア国内で合体など抜け穴探しに余念がない。
世界的にも「スシ」が普及し、ロシア全土で2000店舗以上の寿司バーがある。
今回の意見交換でロシアに「おでん」の普及の話が出て盛り上がったが、最初の「誰」であったり、世界的に普及することで日本の蒲鉾製造企業への影響は決して明るい話ばかりではないようだ。
タイのすり身製造会社も今では最終製品を作り、タイ国内だけでなく中国・台湾などに売り込んでいる。一部は日本国内にも入り、居酒屋メニューの一部に採用されるなどステルスな商売が増えてきた。
ロシアがすり身を作る話はとても興味があり期待をした感も有ったが、タイのすり身企業同様、友達にもライバルにもならないとも限らないのが、今の世界のすり身企業の現状ではないのだろうか。
我々を取り巻く現状は、一昔前のそれとは大きく変わり様々なことを考えていかなくてはいけない状況になってたんだと気付く。

それにしてもロシア料理はどれも美味しかった。
理由は科学調味料を使わない、素材の味と時間をかけた調理にあった。
昼食でも1時間、夕食には2時間は掛かった。

早く出てきて、早く食べ終わる食事と言う物はつまらないものだと久しぶりに思った。
今はまだこの美味しいロシア料理が食べられるが、数年もしくは数十年後のロシアでは変わっているのかもしれない。
今のロシアを知ることが出来た素晴らしい視察になったと思う。

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